イチローのお得意さん|日本人MLBプレイヤーの2009年-38

スプリングトレーニングが始まって、イチローが試合に出るようになった。昨日は、ショーン・フィギンスと見事な連携プレーを見せたようだ。久々にイチローについて調べたくなった。で、今回は、イチローのお得意さんについて。まず、安打をたくさん提供した投手。
 
当然のことながら、同リーグ同地区に在籍した投手からたくさん打っている。1位のミルウッドはTEXからBALに、2位タイのジョン・ラッキーはLAAからBOSに移籍したから対戦数が減る。こうしてみるとそうそうたるメンバーから安打を量産しているのが分かる。たとえばNYYのC.Cサバシアにとっては嫌な打者なのだと思う。
続いて打率で見る。

顔触れはかなり変わる。かなり落ちる。打率、安打数を稼ぐにはこうした投手から確実に打っておくことが必要なのだ。向かっていくタイプ、直情型の投手が多いように思う。デービッド・ウェルズなど懐かしい顔もある。
ただ、イチローは特定の投手から荒稼ぎをしているわけではない。2000本以上の安打を打っているイチローにとって、最大のお得意様のミルウッドでさえも1.3%に過ぎない。NPBでは、王貞治は江夏豊から74安打、20本塁打も打っている。これは全安打数の3%である。対戦する投手数が3倍近くもいるMLBでは、特定の投手にだけ強くても安打は稼げないのだ。今年も多くの新人投手がデビューするだろうが、イチローはそうした新顔もお得意さんにしていくに違いない。

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城島健司の4年間|日本人MLBプレイヤーの2009年-37

城島は「日本人には珍しい攻撃型の捕手」と呼ばれている。ということは、MLBではよくあるタイプの捕手なのかと言えば、そうではなかったようだ。

城島は「仕切る捕手」だ。投手陣、そして試合を仕切る。守りのかなめであり、攻撃でも主軸である。その支配力でチームを引っ張っていくタイプ。
日米問わず、このタイプはそれほど多くない。日本では城島の師匠でもあった野村克也がその典型。そして古田敦也がこれに続く。森昌彦、伊東勤のように守備で投手をリードする捕手や、田淵幸一、木俣達彦のように中心打者となる捕手はいたが、試合全体を支配するタイプはそれほど多くはなかった。(一時期の中尾孝義もその一人か)
MLBでは、ジョニー・ベンチ、サーマン・マンソンあたりか。アーニー・ロンバルディやマイク・ピアッツァなど攻守に優れた捕手はいたが、チームを統率する能力はまた別物だった。(全盛期のイヴァン・ロドリゲスもそれに近いか)
城島は、NPBでのその存在感が、そのままSEAでも通用すると考えたのかもしれない。1年目は打撃も好調であり、投手との関係も良好だっただけに、城島のステイタスは彼が望む位置に近付いたように思えた。しかし、その地位はフェリックス・ヘルナンデスら若手投手との関係がこじれるとともに、もろくも崩れ去った。そして、捕手としての地位の揺らぎが、出場機会を減らし、打撃面にも影響を与え、負のスパイラルを加速させた。
SEAでの城島は守備面で見ても、平凡な捕手ではなかった。特に盗塁阻止率(CS%)では、群を抜いていた。

日本は年功序列がしみわたっている社会だ。たとえ信頼関係が築かれる前でも、後輩は先輩の言うことを聞くのが当たり前だ。しかしアメリカにはその伝統はない。城島はこうした文化の面でも躓いたかもしれない。この経験を活かして、日本で大成することを望みたい。

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松井稼頭央の着地点|日本人MLBプレイヤーの2009-36

NPBでの松井稼は、イチローの足元を脅かしかねない打者という印象があった。安打を打つ技術を持ち、走塁でも群を抜いていた。しかもイチローと異なり、内野の要として守備面でもチームを引っ張っていた。事実、イチローがNPBから抜けた2002年には、自身最高の193安打を放ち3割30本30盗塁を達成している。この年の猛打賞は実に20回を数えた。
 

当然ながら、MLBでもイチローに続く活躍が期待された。NYMの開幕戦、新人、初打席、初球ホームランという派手なデビューをしたが、まず最初に躓いたのは守備だった。ショートとして致命的な失策が続いた揚句、ホセ・レイエスにSSを譲り、2Bに回る。ここでもぱっとしない成績を続け、翌2006年半ばにはCOLに移籍。多少持ち直すも、翌2007年からは故障に悩まされた。NPBでは連続試合出場記録をもつほど頑健な選手だったが、メンタル面でのプレッシャーが肉体にも影響しているという感じだった。
COLからHOUに移籍してから、松井はようやく役どころを得た感があるが、打者としてはリーグで最も非力な1人である。OPSは.650、OBPは.295。周囲もこれが松井の実力ではないと認識しているようだが、打撃面で大きな期待はかけられていない(盗塁成功率の高さは評価されている)。
日本でスラッガーとして鳴らした選手がMLBで小粒になる。これは岩村明憲と同じだが、岩村がフォアザチームで存在感を年々増しているのとは対照的に、松井稼頭央の評価は一度地に落ち、ようやく這い上がろうとしているところだ。信頼性において大きな差がある。
つくづく思うのは、MLBでは最初の年の前半の数カ月が非常に大切だということだ。ここでいいところを見せないと、期待が大きい分失望も大きくなる。そして周囲からのプレッシャーも露骨になる。松井稼頭央は気の毒な部分が多かった。本人も忸怩たる部分があるのだろう。NPBに復帰するそぶりは感じられない。なんとかMLBでの着地点を探そうとしているように思える。

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田澤純一のボーダーライン|日本人MLBプレイヤーの2009-35

松坂大輔が背中の張りを訴えてやや不安があるために、先発5番手になりそうな状況だ。今年のBOSは先発ローテーションの後ろの1、2の椅子を数人の投手が争奪する形になりそうだ。
田澤もその一人であることに間違いはない。

ベケット、レスター、ラッキーの3人は万全、40男のウェークフィールド、バックホルツが4番手を争い、5番手に松坂、そして田澤があとを追いかける。
2009年の田澤は、マイナーではほぼ合格点。被安打が少なく、四球も少ない。奪三振もほどほど。問題は球筋がきれいな日本人投手にありがちだが、被本塁打が多いこと。MLBでのデビュー戦で、A-RODに打たれたサヨナラ本塁打は、それを象徴的に物語っている。
今季もチャンスは十分にあるだろう。ただし、この手のチャンスはそこそこの投手ならば、一度や二度はまわってくる。これをものにしなければ、評価は一気に落ちてマイナー暮らしが長くなったり、トレード要員になることも多い。そうした1軍半は、日本に来る外国人投手にも多い。評価が高いうちにローテーションに定着すべきだ。今年、田澤のボーダーラインは、一度MLBに上がったら落ちないということだろう。
アナリストによる田澤の今季STATS予想は、4~5勝、ERA5点前後、WHIP1.4台。これは落第ということだ。この予想を覆す活躍が期待される。

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小林雅英の失意と再起|日本人MLBプレイヤーの2009-33

小林雅英は7年連続20セーブ以上というNPB記録を持ち、通算227セーブという実績をひっさげて、2008年CLEに入団した。しかしNPBでのSTATSを子細にみると、その投球内容は絶対的なリリーフエースとは言えなかったことが分かる。

小林雅英は、クローザーにしては被安打率が高い。しかもWHIPも悪い。絶好調だった2002年を除くと、ぎりぎり及第点程度の内容だ。2007年のSTATSは、すでにクローザーとしては通用していないことを示している。小林は、阪神の藤川や元横浜の佐々木主浩のように、登板すれば相手を絶対に抑え込むという投手ではなく、出塁も許し、失点もするが、何とか試合にまとまりをつける投手だったということだ。ただ、タフさには定評があった。
強気で押すピッチングだったが、球筋は素直。良く曲がるスライダーとシュートの持ち主だが、肝心のコントロールが今一つだった。短いイニングに集中するクローザーには、先発よりもレベルの高い数値が必要だが、小林はすべて平凡だった。
NYYやBOSなどの一流チームは食指が動かなかった。チーム事情が苦しいCLEに入団したが、相変わらずのピリッとしないマウンドだった。初登板の4/2のCWS戦では1アウトを取る間に2安打された。四球は少なかったがマウンドに上がるたびに常に安打を打たれるという感じで、SVを上げても信頼感は上がらなかった。7月以降は失点も多くなり、ついには降格となった。
2009年も同様で、5/7のBOS戦で5失点したのを最後にファームに落ちた。ファーム、AAAコロンバスでも惨憺たる成績でアメリカ挑戦を終えた。
仮定の話だが、小林はセットアッパーだったならもう少し通用したのではないかと思う。テンションの高いステージを託すには精度の低い投手だったが、それなりの技術を持っていたからだ。
小林のMLBは失意のうちに終わった。質的に違う野球を経験したのはことを今後の糧にしてほしい。

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岩村明憲の2010年|日本人MLBプレイヤーの2009-33

PITの内野陣は、1B、クレメント(26歳)、2B、岩村(31)、Rセデーニョ(27)、Aラローシュ(26)という布陣が予想されている。
経験の浅い内野陣の中で、岩村が担うのはリーダー的な役割だろう。同時にMLBの弱小球団の常として、PITのマイナーには有望選手が目白押しだ。特に2008年1順目全体でも2番目でPITに入ったペドロ・アルバレスはまだAAながら、2010年中にMLB入りすると予想されている。3Bを守るアルバレスの昇格によって、ラローシュが動くだけでなく、内野は大きく変化するだろう。岩村はそんなチーム事情に対応して守備位置も打順も変化することだろう。
MLBのアナリストたちは、そうした岩村の立場を勘案して、以下のようなSTATSを予想している。割と面白くない予想だ。

しかし、私は2010年の岩村はNPB時代の長打力を徐々に発揮すると思っている。再建中のチームにあって、岩村には勝負強いバッティングも求められるはずだ。それに応えていいところで一発打つようなシーンも見られると思う。

 

BSやJ-Sportsで、出来るだけたくさん彼の試合を見たいと思う。

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岩村明憲の第二幕|日本人MLBプレイヤーの2009-32

2009年のSTATSを見て思うのは「岩村って、こんなに試合に出ていたんだ!」ということだ。あんな大けがをしながら、奇跡的に復帰して、立派に数字を残していたのだ。ベン・ゾブリストという予想外の活躍をする選手が出なければ、岩村はTBで2010年も2塁を守っていたはずだ。

NPBとMLBのSTATSが岩村ほど大きく違う選手はいない。NPBでは、OPSは.900を超え、40本100打点を記録したシーズンもある。堂々たる主力打者だった。それが、MLBに移籍すると一転、規定打席以内の打者でも本塁打が少ない選手の一人になった。
確かに日米の野球のパワーの差は存在する。岩村のスケールダウンはこれで説明できるかも知れないが、それでも10数本の本塁打は打てたはずだ。恐らくは、岩村はバットを振り回すことを封印し、自分の役どころに徹したのだ。NPBから移ってきた他の野手と岩村の最大の差は、アピールをせず、チームで求められるパーツに徹したことにあるだろう。プロスペクトのロンゴリアが上がってくれば、3Bを明け渡す。1番から9番にまわっても、ちゃんと仕事をする。結果として岩村は信頼を勝ち得たのではないか。
アメリカは自己主張の国と言われるが、野球という団体競技では、チームへの貢献が第一であるのは言うまでもない。その基本を守ったことで、岩村はMLBの一員として評価された。
2010年岩村が移籍するPITも、TBに劣らない弱小チームである。またペドロ・アルバレス、ホゼ・タバタなどのプロスペクトが出番を待っている点でも似ている。第二幕でも、岩村の賢さが生きることになるだろう。

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福留孝介の2010年|日本人MLBプレイヤーの2009-31

福留は、NPBにはSSとして入り、後に3Bに変わったが、内野手としてはエラーが多く、失格だった。しかし外野にコンバートされてからは守備範囲の広さと強肩で鳴らす名手となった。ゴールデングラブを4度受賞している。
イチローによってNPBの守備のレベルの高さを実感したMLB関係者は福留の守備にも大きな期待を持っていたはずだ。しかし、STATSを見る限り福留の外野守備は優れているとは言えない。2008年は右翼を守ってRF(RangeFactor)2.05は規定出場試合以上10人中5位。2009年は中堅でRF2.29は11人中最下位。もともと守備に関しては器用とは言えない福留だが、この数字を見る限り守備での貢献度も高いとは言えない。

そんな福留が2年間レギュラーの座を守ったのは、契約によるものだろう。4年4800万ドルの契約には、マイナーリーグに落とせないなど選手起用の付帯条件が付いているのだろう(ご教示いただければありがたい)。そういうことも加味して、MLBのアナリストたちは、2010年もレギュラーでの起用を予想している。しかし、STATSは芳しいものではない。

福留は2011年まで契約が残っている。その年までMLBでも上位の年俸が保障されている。しかし、このまま平凡なSTATSを残し続けるなら、その後にMLBでキャリアを重ねることは難しいだろう。それだけでなく、福留の不良債権化は、彼に続くNPB出身野手の評価を大きく下げることになるだろう。良い意味で「想定外」の活躍が期待される。

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福留孝介は楽しんでいるか?|日本人MLBプレイヤーの2009-30

結局、福留のMLB2年目の成績は、1年目と大差ないものに終わった。ルー・ピネラが2008年ほど福留をこき下ろさなかったのは、肝心な時に大スランプになるのではなく、STATSが徐々に落ちていったからである。最終的な評価は同じようなものだっただろう。
 
福留のSTATSを見て思い浮かべるのは、韓国から中日にやってきて、福留と同じ外野を守った李炳圭である。KBOではバランスのとれた中距離打者であり、攻守に実力を発揮すると思われたが、フルに出場したにもかかわらず何の取り柄もないSTATSで終わった。福留もNPB時代での輝かしい実績を見れば、MLBでも素晴らしい実績を残すと思われたが、李炳圭同様、すべてのSTATSが小さく縮こまったようになってしまった。
もちろん、福留の非凡さを表す数字もなくはない。彼はリーグ屈指の出塁率を誇っている。IsoD(出塁率-打率)は.100を超えている。MLBでは非常に高い評価を得ることができる数字だ。これでOPSがもう少し高ければ、優秀な打者だと言えるのだが。
福留を見ていていつも思うのは、野球を楽しんでいるか?ということだ。どこか生真面目で、義務感にかられて野球をしているような感じがしてならない。同じような印象を石毛宏典にも受けたことがあるが、野球を「仕事」として受け止めすぎているような気がする。その才能にもかかわらず、ファンタジスタの輝きを感じないのだ。
MLBでのデビュー戦で「偶然だぞ!」という誤訳のサインボードを背景に大活躍した福留には、どきどきするような期待感があった。
そのころの輝きを取り戻すのは、ひとえに福留自身のモチベーションにかかっていると思えるのだが。

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川上憲伸の試練|日本人MLBプレイヤーの2009-29

2010年の川上が、ローテーションの一角でスタートできるかどうかは、チーム事情によるところが大きい。エースのバスケスがNYYに移籍した。ただ、2009年最終盤に川上から先発の座を奪ったハドソンと3年契約をした。MLB通算148勝の実績ある投手だ。それを勘案すると川上はローテの5番目くらいには入りそうだが、まだ予断は禁物だ。
例によってアナリストたちの予想である。

これも感心しない。CHONEさんの予想は川上がDL入りなどで離脱することを意味している。それは予想の埒外だ。この中ではファンのものが妥当性があるように思う。
川上は7割くらいの確率で、先発5番手に入るだろう。ここでシーズンを全うすれば31回くらい登板のチャンスがあろう。QSは20を超えているだろう。その場合の予想と、不幸にしてローテから外れ、2イニング程度のセットアッパーとしてシーズンを過ごした場合の予想をしてみた。後者の場合、ローテーションの合間を埋めることも考えられる。

後者の場合は、年俸(3年契約3200万ドル)に見合った活躍とは言えない。川上の場合、シーズン当初に与えられるであろう先発のチャンスに、どれだけQSを重ねられるかにかかっている。
 

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