長嶋一茂に思うこと|エピソード2009-67

「親父に叱られたことなんてなかったですよ。初めて叱られたのは巨人に入って、サインを見落としたとき」
今朝のTVで、長嶋一茂が言っていた。そうだろうな、と思った。

一茂はドラフト1位で入団した1988年、オールスターに選ばれた。太田幸司以来の「アイドル票」によるものだ。苦労して西宮球場の切符を手に入れて見に行ったが、プレーそのものは記憶にない。ただ、守備の動作は緩慢だなと思った。
そもそも一茂のドラフト一位自体が「ご祝儀」の印象が付いてまわる。立教大学時代の通算成績は.225、11本塁打、54打点。本塁打は六大学20位タイ、親父を抜いているが、後の成績は平凡。4年生になってベスト9に2期連続で選ばれたことが決め手になったのだろうが、「長嶋2世」という肩ガキがなければせいぜい3位という所ではなかったか。
野村監督からは「やる気がない」という烙印を押された。当時は一茂への「ぼやき節」が名物になっていた。野村は、「一茂の轍は踏むまい」と思っただろうが、倅野村克則のプロ入りでは辛酸を舐めることになる。
一茂が一番輝いていたのは、野球留学で言ったA+ベロビーチでの1年ではないだろうか。ここでは彼の家柄を知る人はいない。チーム最年長26歳の一茂は3Bレギュラーとしてフルシーズンを戦った。SSは、プロ入りしたばかり、18歳のミゲル・カイロが守っていた。
長嶋巨人に引き取られてからは、見るべきものはない。早く見切りをつけたかったのだろう。引退してからの一茂の方が、はるかにやる気があるように見える。
MLBでは、二世、三世で成功している選手は数多い。バリー・ボンズやケン・グリフィJrのようにニ代続けて大選手というケースもある。もちろんピート・ローズやロジャー・クレメンスのように息子はぱっとしない例もあるが。
NPBではそんなケースがほとんどないのはなぜなのか?今朝の一茂の言葉に、そのヒントがあるような気がする。

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東北楽天ゴールデンイーグルスの2010年(野手編)|2010年の戦力分析-16

【2009年】
 
アラフォーの大砲山崎が引っ張る打線に、鉄平という心強いアベレージヒッターが成長してきた。貧弱な打線が強化され、出塁率が上がったことで、山崎の打点も前年より27もアップした。
ただし、中村紀の大誤算が大きかった。草野も3割を打ったが早打ちで四球が少なく、貢献度は高くない。むしろ地味ながら渡辺直人の攻守でのガンバリを評価したい。
外野手は鉄平以外のポジションが定まらないうちに終わった。
 
【2010年】

1Bを中村紀と広島から加入のフィリップスが争う。中村紀は、モチベーションが低いと数字が全く出ないタイプ。監督が代わってどのようなパフォーマンスを見せるか。フィリップスはシーズン途中から加入で15本塁打だから期待はできる。他は大きな変動はないが、気になるのは内野陣+DHの高齢化。チーム草創期からの顔触れがそのまま居座っている印象だ。守備面での問題もあるし、ポジションを若手が一つでも二つでも奪わないと将来性が見えてこない。
打線としても42歳の山崎だのみでは、展望がない。鉄平に続く貢献度の高い打者が出てこないと、大幅に戦力ダウンする可能性もある。
 
【総論】

年俸は1.8億円増えているがこのうち1億円は中村紀の年俸アップ(5000万➔1.5億)、率直にいえば大型不良債権化している。このために大きな投資ができなかった。42歳の山崎の後継者作りが1年遅れたことは、将来を考えると禍根だと思う。
 
【投打の総論】
 
1軍の年俸総額は、19.2憶円から22.7億円へ。投手陣の整備が順調なのとは対照的に、打線の整備は遅れている。山崎が昨年に近い活躍を見せるなら期待は高まるが、そうでなければ貧打にあえいで下位に沈む可能性もあると思う。

 
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東北楽天ゴールデンイーグルスの2010年(投手編)|2010年の戦力分析-15

【2009年】

2位躍進の原動力は、間違いなく先発投手陣の充実にあった。特筆すべきは永井の一本立ちである。これがWBCの主戦投手だった岩隈の負担を軽減した。そして言うまでもなく田中の成長だ。長谷部はデビュー年よりは数字を残したが、被安打の多さが目立った。ラズナーは実力から考えると不満足な出来だった。
先発陣とともにがんばったのは、セットアッパーの小山と福盛。ただ、その他のセットアッパーは落第点。グゥインは、ERAはいいが、コントロールが定まらず、信頼感はなかった。また福盛はクローザーとしては失敗が多かったため、最後までクローザーが定まらなかった。
 
【2010年】

グゥイン、チルダースを放出し、モリーヨを入れた。100マイルをはるかにオーバーする速球の持ち主であり、クローザーに起用する模様。
先発候補の6人はまだ全員が二十代。その若さが魅力だ。岩隈、田中、永井に加えて長谷部、ラズナー、藤原のうち2人が先発として通用すれば、楽天の投手陣は盤石になるだろう。さらにドラフト1位の戸村も即戦力先発として期待されている。 
【総論】

新外国人を獲得した以外は大きな動きはなかったが、伸び盛りの投手がいるため年俸総額は上がっている。しかし、その上昇分くらいの実力アップは期待できるのではないか。
岩隈、田中という二本柱の周りが成長して、2人の負担が軽くなれば、投手の台所事情は明るくなるはずだ。

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松坂世代の12年 下|エピソード2009-67

2007年松坂のBOS移籍は、NPBでの頂点を極めたこの投手にとって、順当なステップという感があった。

この年は、館山が勝星こそ上がらないものの、内容的には良いSTATSを残した。また、阪神では4人の松坂世代が救援投手として獅子奮迅の活躍をした。
2008年は松坂が18勝をMLBで上げた年。ただし、ERAよりもDIPSが相当悪く、出来すぎの感があった。

この年、館山が遅まきながら台頭してくる。
そして2009年、WBCには松坂、杉内、藤川が出場。松坂は再びMVPを獲得したが、BOSでは不振をかこった。

2009年は多くの松坂世代の投手にとって、ある種の曲がり角に至った年のようだ。毎年成績を上げていた投手が不振にあえいだ。その中で館山に続き川井という遅咲きの投手が台頭した。また、松坂、和田、藤川らの陰に隠れてそれほど目立たないが、杉内が安定感のある数字を残している。
早熟の才能を、大器晩成型の投手が追いかける。松坂世代は、第二幕に入ろうとしているのだ。

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松坂世代の12年 中|エピソード2009-66

松坂世代投手がどのようにNPBに進出していったか、年度別にみると、興味深いことが分かってくる。まずは松坂がNPB入りした1999年から2002年。

1999年、松坂世代でNPB入団した投手には新垣や藤川がいるが、この時点で松坂は別格の投手だったことが分かる。99年からの4シーズン、同世代の投手たちの多くは松坂を意識しながらアマチュア野球で研さんを積んでいたのだ。松坂世代が花開くのは、大卒選手が入団した2003年だ。

一気に二桁投手が4人。新しい時代の幕開けという感じがしたものだ。
ここからこの世代は、NPBの中心を担っていく。

注目すべきは、諸事情があってNPB入りがかなわなかった多田野が松坂に先立ってMLBに挑戦し、CLEで投げていることだ。DL入り選手の補強として使われるにすぎなかったが、もう少し我慢していれば、松坂より前にMLBで活躍できたかもしれない。

少し中だるみのあった松坂だが、2006年は再び大エースの数字を残し、WBCでのMVPも獲得し、MLBへと去っていった。

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松坂世代の12年 上|エピソード2009-65

NPBのSTATSを見るときに常に頭の隅にあるのは「松坂世代」という言葉だ。1980年生まれの松坂大輔の同級生。だから81年1月生まれの久保田も入ってくる。この世代に傑出した選手、とりわけ投手が多いのは驚くべきことだ。
昔は、昭和43(1968)年ドラフトという大豊作年があって、山本浩二、田淵幸一、星野仙一、富田勝、山田久志、加藤秀司、福本豊、有藤通世、藤原満、東尾修、金田留広、大島康徳などすごいメンバーがプロ入りしたことがあったが、彼らは生年はまちまちだった。同い年でこれだけの顔触れがそろうというのは、どのように考えればいいのだろうか。
2009年末時点、つまり28~29歳の時点での主要な松坂世代投手の通算成績は以下の通りだ。

最も早くから活躍した松坂がトップなのは当然だが、ここへきて遅咲きの館山などが数字を上げてきている。新垣のようにすでに故障して、キャリアに陰りが出ている選手もいる。また、優秀なクローザーが多いのも特徴だ。藤川よりも永川の方がセーブ数が多いのはちょっと意外だった。
MLBは松坂と多田野が進出している。NPBだけでなくMLBにも注目しだした世代でもある。多くの松坂世代は、松坂の活躍をリーグを超えて意識しているのだ。
NPBの将来は、決して明るいとは言えないが、この世代がNPBを引っ張ることになる数年先に、選手の側から現在のNPBを変えるようなムーブメントが起こることを期待したい。
大器晩成型の選手たちが、松坂を追いかける。この息の長いレースも注目していきたい。

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福岡ソフトバンクホークスの2010年(野手編)|2010年の戦力分析-14

【2009年】

小久保、松中という主砲の長打力に陰りが見え、後継者たる多村が故障がちで、迫力のない打線だった。そんな中で捕手でありながら26本塁打した田上が、攻守ともに中心選手に名乗りを上げた。また、長谷川は3割を打つとともに、出塁率も大幅にアップし、中心打者へと成長した。川崎、本多の走力が光ったが、走塁ミスも多かった。
 
【2010年】

野手での新加入は中距離打者の李 杋浩だけ。1億円の高給取りだが、過大な期待は禁物だろう。むしろ、昨年骨折で戦線離脱した松田の復帰、長谷川のさらなるパワーアップなどで、上位から下位まで20本前後を打つ選手が並ぶ、気の抜けない打線で勝負すると考えるほうがよいのではないか。外野手の3人目が誰になるかも気になるところだ。
川崎、本多は出塁率を向上させることで機動力がさらに生きてくる。
新人で野球センス抜群の今宮健太は1軍デビューの可能性があると思う。
 
【総論】

ベテランと若手が交錯する過渡期の打線という印象。大選手が多いので年俸が高く、コストパフォーマンスは良くない。李 杋浩のSTATSを加算したので戦力的には上がっているように見えるが、実際には横ばいではないか。
【投打の総論】
黄金時代のあとのチームだけに、実績はあるが衰えの目立つ選手や不良在庫が多い。2009年1軍で出場がなかった中にも篠原、的場、斎藤和己のような大物がいた。3人合わせて年俸は2億円を超えていた。また村松、柴原という控えの高給取りもいる。松中、小久保、新垣の年俸も巨額だ。レギュラーの年俸総額は、30億円から29億円と下がったが、“実勢評価額”はさらに低いと思われる。もちろん、ポストシーズンを狙える布陣ではあるが、ベテランと新人の交代がスムーズにいかないと、2008年のように下位に沈む可能性も大いにあると思う。

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福岡ソフトバンクホークスの2010年(投手編)|2010年の戦力分析-13

【2009年】

主軸投手の和田が左ひじ故障で戦線離脱、ローテーションは杉内、ホールトンは盤石だったが、続く大隣、藤岡、ジャマーノ、大場、ローなどが不安定なままだった。
この先発陣をフォローしたのが、ファルケンボーグ、馬場、摂津という優秀なリリーフ陣だった。続く水田、久米も合格点であり、2009年のソフトバンクは、救援陣で持っていたという感がある。
特に新人の摂津は、投球スタイルは違うもののOAKのジーグラーを思い出させるような大活躍だった。先発陣がもう1枚しっかりしていれば、さらに上位を狙えただろう。
 
【2010年】

この表にはないが、篠原貴行が横浜に移籍。ロー、ジャマーノという働かなかった外国人投手を放出した以外は、ドラフトで投手が加入しただけである。1位の今宮健太は投手ではなく野手で起用するようなので、即戦力としては2位の川原。現状維持での戦いだ。
テーマは2009年に引き続いて先発の3、4、5番目の確立。和田、大隣、高橋に復調の兆しがあった新垣が候補と言えるだろう。
最大の懸念材料は70試合も登板した摂津が引き続き機能するかどうか。DIPSとERAの差を見ても、2009年は明らかに出来すぎの感があった。摂津とファルケンボーグが機能するかしないかで大きな差異ができてくる。
【総論】

率直にいえば補強はしていない。不良債権化した投手を放出したのみ。現状戦力の底上げを目指す考えである。ただ、もともとレベルが高いうえに20代後半から30そこそこの選手が揃っており、戦力の維持、向上は不可能ではない。キーパーソンは和田と摂津だろう。

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松井稼頭央の着地点|日本人MLBプレイヤーの2009-36

NPBでの松井稼は、イチローの足元を脅かしかねない打者という印象があった。安打を打つ技術を持ち、走塁でも群を抜いていた。しかもイチローと異なり、内野の要として守備面でもチームを引っ張っていた。事実、イチローがNPBから抜けた2002年には、自身最高の193安打を放ち3割30本30盗塁を達成している。この年の猛打賞は実に20回を数えた。
 

当然ながら、MLBでもイチローに続く活躍が期待された。NYMの開幕戦、新人、初打席、初球ホームランという派手なデビューをしたが、まず最初に躓いたのは守備だった。ショートとして致命的な失策が続いた揚句、ホセ・レイエスにSSを譲り、2Bに回る。ここでもぱっとしない成績を続け、翌2006年半ばにはCOLに移籍。多少持ち直すも、翌2007年からは故障に悩まされた。NPBでは連続試合出場記録をもつほど頑健な選手だったが、メンタル面でのプレッシャーが肉体にも影響しているという感じだった。
COLからHOUに移籍してから、松井はようやく役どころを得た感があるが、打者としてはリーグで最も非力な1人である。OPSは.650、OBPは.295。周囲もこれが松井の実力ではないと認識しているようだが、打撃面で大きな期待はかけられていない(盗塁成功率の高さは評価されている)。
日本でスラッガーとして鳴らした選手がMLBで小粒になる。これは岩村明憲と同じだが、岩村がフォアザチームで存在感を年々増しているのとは対照的に、松井稼頭央の評価は一度地に落ち、ようやく這い上がろうとしているところだ。信頼性において大きな差がある。
つくづく思うのは、MLBでは最初の年の前半の数カ月が非常に大切だということだ。ここでいいところを見せないと、期待が大きい分失望も大きくなる。そして周囲からのプレッシャーも露骨になる。松井稼頭央は気の毒な部分が多かった。本人も忸怩たる部分があるのだろう。NPBに復帰するそぶりは感じられない。なんとかMLBでの着地点を探そうとしているように思える。

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田澤純一のボーダーライン|日本人MLBプレイヤーの2009-35

松坂大輔が背中の張りを訴えてやや不安があるために、先発5番手になりそうな状況だ。今年のBOSは先発ローテーションの後ろの1、2の椅子を数人の投手が争奪する形になりそうだ。
田澤もその一人であることに間違いはない。

ベケット、レスター、ラッキーの3人は万全、40男のウェークフィールド、バックホルツが4番手を争い、5番手に松坂、そして田澤があとを追いかける。
2009年の田澤は、マイナーではほぼ合格点。被安打が少なく、四球も少ない。奪三振もほどほど。問題は球筋がきれいな日本人投手にありがちだが、被本塁打が多いこと。MLBでのデビュー戦で、A-RODに打たれたサヨナラ本塁打は、それを象徴的に物語っている。
今季もチャンスは十分にあるだろう。ただし、この手のチャンスはそこそこの投手ならば、一度や二度はまわってくる。これをものにしなければ、評価は一気に落ちてマイナー暮らしが長くなったり、トレード要員になることも多い。そうした1軍半は、日本に来る外国人投手にも多い。評価が高いうちにローテーションに定着すべきだ。今年、田澤のボーダーラインは、一度MLBに上がったら落ちないということだろう。
アナリストによる田澤の今季STATS予想は、4~5勝、ERA5点前後、WHIP1.4台。これは落第ということだ。この予想を覆す活躍が期待される。

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