SEA正捕手争い過熱す②|2010MLBペナントレース-13

もう少し詳しく両者のSTATSを見てみよう。

ちょうど同じイニング数マスクをかぶって、守備成績では若干ロブ・ジョンソンの方が上。そして、城島の時ほどではないが、ロブ・ジョンソンとアダム・ムーアの間ではcERAで顕著な差がある。ロブがフェリックス・ロドリゲスを受けていることも大きいだろうが、両者はリード面でかなり差が開きつつある。
前にも紹介したが、アダム・ムーアは、ロブ・ジョンソンのあとを1年遅れで追いかけてきた。

しかし、ジョンソンが主に守備面での評価が高かったのに対し、ムーアは2007年にA+で22本塁打を打つなど打撃面の評価が高かった。捕手としてもそこそこの評価で(盗塁阻止率はAAAで.350)、以前いたジェフ・クレメントのように守備はからきしダメという訳ではない。一長一短があるが、二人はまさに好敵手だった。
ここまでの時点では、ムーアは自慢のバッティング面で振るわない。OBPでは、むしろジョンソンの方が優秀である。ムーアの挽回が期待される。
ロブ・ジョンソンは、まだ首脳陣の信頼を十分に得てはいないが、こうした試練を経て、正捕手への階段を上っていくのかもしれない。
地味だが、興味深いポジション争いである。

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白石勝巳|クラシックSTATS鑑賞 巨人-03

プロ野球草創期から長く活躍した内野手。和製ギャグニー。ジェームス・ギャグニーは野球選手ではなく、ギャング映画で一世を風靡した映画俳優の名前である。容貌が似ていたことによる。

【キャリア】
広陵中学時代に1塁手で選抜準優勝。中退後、巨人軍の創設に参加。44年応召。46年パシフィックに入団、47年はノンプロ植良組(別府)、48年巨人に復帰、50年に地元広島に新球団が創設されると参加、53年から監督兼任。56年選手引退。65年に監督を引退。評論家を経て68年巨人ヘッドコーチ、74年引退。
【タイトル、それに準ずる記録】
○最多得点2 ○最多四球1 
・打撃10傑入り5 ・OPS.900以上0 ・RC100以上1 規定打席以上17シーズン
ベストナイン1 オールスター出場1
【論評】
巨人と広島という2球団の草創メンバーであり、36年から74年まで数年を除いてプロ野球にかかわり続けた。戦前は、守備の名手として知られた。遊撃での逆シングルキャッチは白石が確立したとされる。打撃面では、長打は少なかったが1シーズン制になってからは、高い出塁率と俊足で屈指のリードオフマンとしてチームに貢献した。
戦後も巨人、広島で手堅い守備と巧打で鳴らした。長打力も付き、50年5月28日には1イニング2本塁打も記録した。
人間臭い話題を数々残しているが、野球知識が豊富で、広島監督時代には「王シフト」も考案している。
戦争を挟みながら、18年に渡って現役生活を続けることができた数少ない選手の一人。広島の「創業の顔」であり、多くのファンに愛され続けた。幸運な選手と言えるだろう。

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井川慶、AAAでも窓際に|エピソード2010-30

井川慶は、MLBで投げ続けていたら、4年で20勝くらいはしていたと思う。NYYで不良資産と見なされ、AAAに“島流し”にあって4年目。今季はAAAの開幕ローテーションにも入っていなかった。

4月21日にようやく先発のお鉢が回ってきたが、3回を投げて6安打1四球2失点をすると早々にひっこめられた。井川はAAAで2007年5勝4敗ERA3.69、2008年14勝6敗ERA3.45、2009年10勝8敗ERA4.15の記録を残している。ほとんどが先発登板だった。
AAAというレベルは、多くがMLB経験者で占められている。実力的にはMLBと大差ない中で数字を出すことで、潜在的な実力をアピールし、他チームとの契約(マイナー契約だが)に結びつける意味がある。このレベルで登板が減り、しかも数字が悪化すれば、他チーム移籍の可能性も減ってしまう。
体力的に衰える年齢ではない。モチベーションの低下が主因だろう。今年何とかしないと井川慶は終わってしまうのではないか。

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SEA正捕手争い過熱す①|2010MLBペナントレース-13

昨年、城島との激しいポジション争いに勝利したSEAのロブ・ジョンソン。今季は正捕手安泰かと思ったら、SEA生え抜きの1年後輩、アダム・ムーアと併用されている。
開幕から今日までの起用は、以下の通り。

ロブ・ジョンソンが受けた試合は7勝4敗、アダム・ムーアは4勝7敗。ムーアの方がやや分が悪い。ただ、これはコンビを組む投手の能力にかかる部分が大きい。
先発投手とのコンビは、エースのフェリックス・ヘルナンデスはロブ・ジョンソンでまたイアン・スネル、バルガスはアダム・ムーアで固定されている。残るフィスターとローランド-スミスは2人が受けているが、フィスターはどうやらロブ・ジョンソンで固まった模様。ロースミはまだ試行錯誤中のようだ。
5月にはいよいよクリフ・リーが復帰してくる。スプリングキャンプではロブ・ジョンソンが受けていたが、わずか2試合のことだ。それで相性が分かったとは言えないが、ドン・ワカマツとしては1日の長があるロブ・ジョンソンにまずは任せるのではないだろうか?

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黒田博樹、エース級の存在感|2010MLBペナントレース-12

マニー・ラミレスが4/23にDL入り(右ふくらはぎの損傷 重症ではなさそう)、同日、救援に回っているJウィーバーも背中の張りを訴えてDL入り、4/27には開幕投手のパディーヤまで右前腕痛でDL入りした。LADは4連敗で最下位。危機的状況にある。

黒田はローテーションでは4番手だったが、今や最も信頼のおける先発となっている。

 

4試合でQS3度。球数が少なく、大崩れしない。何とか試合を作っている。LADはこれからローテを入れ替えざるを得なくなるが、昨年から引き続いて安定感があるカーショウと黒田を軸にまわしていくことになるだろう。
今季のここまでの黒田の戦績。
 
もともと四球が少なく、被安打が多い投手だが、今季は塁に走者が出ても何とか抑えるケースが多い。昨日のNYMダブルヘッダー2戦目、エース、ヨハン・サンタナとの勝負も互角の投げあいだった(黒田6回5安打3四球2失点、サンタナ6回4安打3四球)。
LADは先発陣もおぼつかないが、救援陣もブロクストン、トロンコーソ、モナステリオスの3人しか頼れる投手がいない。打線もこのところ元気がないので、黒田は好投しても勝ち星がつかないケースが今後も続くだろう。
総合的に見ればナリーグ西地区ではSFと並ぶ実力のあるLADである。シーズン補強も当然考えられる。いずれは上位に浮上するだろう。契約最終年の今年、エースの実績を残せば、黒田は次の契約が見えてくる。

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高橋尚にめぐってくるチャンス|2010MLBペナントレース-11

前回に続き、今日もNYMは高橋尚をロングリリーフに起用した。対LAD戦のダブルヘッダー第2試合、オリバー・ペレスが4回2死満塁で降板し、高橋がマウンドに。いきなり四球を出して押し出しで1点を与えたものの後続を断ち(この時点で3-3の同点)、5、6、7回を2安打1失点で抑え、見方が逆転したために2勝目が転がり込んできた。チームは6連勝。
高橋は長い回を投げさせた方が良い、と首脳陣は判断しつつあるようだ。

今日などは3.1回で75球も投げている。日本人に良くある「無駄球が多い投球」だが、大崩れはしない。抜群のピッチングとは言えないが安定感はある。試合を作る力がある。
現在のNYMの先発陣は以下の通り。

大エース、ヨハン・サンタナが実力通りの数字を残しているほか、昨年ERA5点台だったペルフリーが復調。抜擢されたニース、高給取りのオリバー・ペレスは不満が残るものの何とか踏ん張っているが、昨年後半に復調したはずのメインが全く期待外れに終わった挙句、左ひじの筋肉を痛めた。DL入りはしていないが、次回の登板は回避されそうだ。
高橋は、先発5人に次ぐ投球回数を投げ、及第点の数字を出している。近い時期にメインに代わってローテーションに入る可能性が高まってきた。
ただNYMの救援陣は、五十嵐が抜けてやや台所事情が苦しい。高橋は貴重な中継ぎとしてなお使われる可能性もある。その場合は、昨年6、7月に7度先発し、4度のQSをあげたフェルディナンド・ニエベに先発のお鉢が回ることになろう。

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呉 昌征|クラシックSTATS鑑賞 巨人-02

最も低い打率で首位打者になったことで知られる。台湾が「日本」だった時代の名選手。

【キャリア】
台湾嘉義農林学校時代に甲子園に4度出場。創設2年目の巨人軍に入団。44年阪神にトレードで移籍。この年投手としても出場し、ノーヒットノーランを記録。50年2リーグ分裂時に引き抜きにあって毎日(現千葉ロッテ)に移籍、57年引退。
【タイトル、それに準ずる記録】
●首位打者2 ●盗塁王1 ○最多安打1 ○最多三塁打1 ○最多得点2 ○最多四球1 
・打撃10傑入り5 ・OPS.900以上1 ・RC100以上0 規定打席以上10シーズン
MVP1 オールスター出場2
投手としては31試合15勝7敗17完投2完封ERA3.48 WHIP1.34
【論評】
42年はリーグの平均打率が.197 平均防御率が1.75。極端な投高打低だった。この年に.286で首位打者。規定打席以上で.250を超えていたのは呉.286、岩本.274、中島.261、山田.250の4人だけだった。だが呉の真価は翌43年にある。リーグの平均打率はさらに下がって.196。この中で唯一.300をマークして連続首位打者となる。.250を超えていたのは呉.300、山田.272、吉田.254の3人だけだった。
呉は、安打だけでなく四球を選ぶ能力でもリーグ屈指だった。キャリアのIsoD(AVG-OBP)が1.0を超えている。俊足でもあり、屈指のリードオフマンだった。守備範囲の広さ、強肩も特筆もの。今ならMLBがほっておかない、セイバーメトリクスに適合した選手だったと言えよう。
蛇足ながら、巨人と阪神で主力選手として活躍した唯一の野手である。

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金本は、手術をするべきだ|エピソード2010-29

スタメンを外れている阪神の金本知憲は、右肩の手術をせず、交流戦後にスタメン復帰を目指すことになった。
 金本の負傷は「右肩腱板部分断裂」。肩には腕の外部にある「三角筋」と腕の骨を肩につなぐ「腱板」という二つの筋肉がついている。「腱板」が損傷すると周囲が炎症を起こし、水がたまったり激しい痛みが起きたりする。無理をして動かすと、肩の骨と腕の骨が直接こすれあって変形することもある。実は「四十肩」「五十肩」といわれる症状の一つである。
治療法には、①保存療法、②部分麻酔、内視鏡による摩擦緩和手術、③全身麻酔による腱板の再生縫合手術の3つがある。①保存療法は肩を大きく動かさない患者に向くとされる。しかし、腱板は再生しない。②摩擦緩和手術も同様である。元通りの状態に戻すには③再生縫合手術しかないのだが、数週間の入院と、術後1か月の肩の固定が必要になる。この手術をすれば、金本は事実上シーズンを棒に振ることになる。
42歳の金本にとって、それは耐えがたいことなのだろう。保存療法あるいは摩擦緩和手術によって、痛みを和らげ、早期の復帰を目指すことにしたのだろう。
今の阪神は、金本が「出場する」と言えば、それを止める人はいない。「4番LF」を空けるしかない。しかし、万全でない状態で過酷なペナントレースに参戦しても、十分な実績を上げることは難しいのではないか。肩を激しく動かせば、炎症が再発する可能性は高くなる。骨の変形も進むかもしれない。肩の痛みは、守備だけでなく、打撃にも大きな影響を及ぼすはずだ。
金本が、無理をおして出場することは、ひとり金本だけでなく、チームにも大きな影響を与える。直接的には、金本よりも活躍できたかもしれない選手の機会を奪う。それ以上に問題なのは、金本のこの選択が、後輩の「範」となってしまうことだ。新井、そして連続試合出場を続けている鳥谷あたりが故障した時に、十分に治療をしたいと思っても「金本は体を犠牲にして戦った」と言われれば、抗弁はできないだろう。
金本は、4億円という球界屈指の年俸を得ている。これは、阪神が金本を4億円の価値のある「資産」と見なしていることでもある。資産が毀損したら修理をして、万全の状態にするのが企業というものだ。資産が損耗することが分かっていて、そのまま使い続けるのはおかしい。例えは適切ではないかもしれないが、社用車が故障しているのにそのまま走らせる会社はない。必ず修理に出すはずだ。
「俺が何とかしないと、阪神はダメになる」その責任感は、チームリーダーとして当然ではあるが、他の選手に後事を託すことも、責任の取り方だと思う。もし、記録へのこだわりや、ポジションを失うことへの恐怖が、金本を出場へと駆り立てているとすれば、何も言うことはないが。
金本は、42歳の1年を治療に専念すべきだ。そして、たとえ大幅に年俸が下がろうとも、43歳の2011年、再起を期して背水の陣に挑むべきだ。これこそが、球界の模範となる選手の採るべき道だ。
「チームのために体を大事にする。体を万全にするために、あらゆる努力をする」それこそが本当のプロだと思うのだが。

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中島治康|クラシックSTATS鑑賞 巨人-01

亭主謹白
小さいころからやりたかったことを始めさせていただく。プロ野球(NPBもMLBも)の偉大な選手たちのキャリアSTATSを紹介し、あれこれ論評しようというのだ。鑑賞というのがふさわしいと思う。
当面はNPBの野球殿堂入りの選手を中心にするが、埋もれている名選手をたくさん紹介したい。STATSにOPS、RC、WHIP、DIPSなどセイバーメトリクスの数値を入れて、往年の選手たちが今から評価すればどんな選手だったかも明らかにしていきたい。ひょっとすると退屈かもしれませんが、もちろん、これまで通り、ライブのMLB、NPBのブログもアップしていきますので、お付き合いのほどを。
まずは巨人の選手から。日本初の三冠王、中島治康。

 

【キャリア】
長野県出身。旧制松本商業時代に甲子園の優勝投手。早稲田大学、藤倉電線を経て読売巨人軍の草創に参加。44年応召。46年に監督となるも途中辞任し、選手に戻る。2リーグ分裂年の50年に大洋に移籍、51年監督兼任になるも途中辞任、引退。
【タイトル、それに準ずる記録】
◎三冠王1 ●首位打者2 ●本塁打王2 ●打点王4 ○最多安打3 ○最多二塁打2 
・打撃10傑入り8 ・OPS.900以上1 ・RC100以上0 規定打席以上10シーズン
MVP1 ベストナイン1
【論評】
川上、千葉、藤村らの世代からも10年年長。NPBに辛うじて間にあった選手と言える。試合数が少なく、しかも圧倒的な投手有利の状況下、強打で立ち向かった古豪と言えるだろう。打撃の特徴は、好球必打タイプ。バランスの良い中距離打者という印象だ。足は遅くはなかった。投手上がりらしく、強肩で鳴らし、ライトゴロを何度も記録している。37年から42年までは間違いなくリーグ最強打者だった。
大洋に移籍したのは41歳になる年だったが、数字を見る限り衰えは見られない。人間関係のごたごたで引退したようだが、選手としては惜しい感じがする。
戦争がなく、130試合程度の試合が毎年行われていれば、当然2000本安打に到達したと思われる。
2009年は生誕100年だったが、華々しい催しはなかった。その言動を見ると、アマチュア野球の精神のままでプロ生活を送った人のようだ。

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福留のダンスは魅力的だった!|エピソード2010-28

昨日の福留の活躍は素晴らしかった。そしてチームメイトとダンスをする福留を見るのはうれしかった。この選手は、NPBの選手にありがちな「黙々と仕事をする男」という印象があり、野球を楽しんでいるように見えないことが多かったからだ。3年目にしてチームにすっかり溶け込んだ、と思った。
しかし、福留に残された時間はあと数カ月だ。チームで4番目の1400万ドルという高給取りでありながら、期待を裏切ってきたからだ。
春先、福留が絶好調なのは年中行事である。過去3年間の福留の出場19試合目でのSTATSを並べると下のようになる。

このままシーズンを消化すれば立派な3割打者だが、福留は夏ごろから急降下するのだ。こうして比べると、今季、福留は、全試合に出場しているものの打席に立つ機会は減っていることが分かる。若手のコルビンが伸びてきているし、ネイディも控えている。ルー・ピネラにしてみれば、福留が不調に陥ればいつでも彼らに代えることができる。
しかし、ピネラは福留を十分に評価していると思う。不調であってもリーグ屈指の出塁率を誇り、守備面でも(数字には表れないが)貢献度は高い。しかし、夏ごろからの福留は冴えなくなる。特に左投手が打てなくなる。ピネラは、福留の出場機会を制限して、スタミナを温存しようとしているのではないか。
福留の昨日のいい笑顔は、チームとの信頼関係を表していると思う。残されたわずかな時間の中で、彼は今年こそ「ちゃんとやる」のではないだろうか。

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